改修工事の注意点

新築工事に比べ、既存の仕上げ材を撤去することから始まる改修工事は、イレギュラーな事態が起こります。現場の作業にも経験と知識が必要ですが、特に注意をしなければいけないのがお客さまへの対応です。

仕上げ材の貼替工事に関して、お客様の頭の中には、「新築と同じような仕上がり」になるというような固定観念があるようです。

引き渡し時に、施主様から「壁のゆがみが直っていない」「下地が目立つ」「床全体が波打っている」というようなご指摘を受け、ちょっとしたトラブルになったことがありませんか？

お客様の立場に立ってみると、日用品のように金額の相場が分かっているものには、何の疑いもなくお金を出します。しかし、工事のように相場が分からないものに対してはちょっと違います。まとまった数量になると、かなりの金額になってしまいます。高いお金をはらうのだから、すべて新しくなって当然という考えが生まれてくるのは自然なことです。

ですから、引き渡し時のトラブルを未然に防ぐためには、事前に施主様にきちんと現状や材料の特性を説明して、ご納得いただいてから工事を始めることをお勧めします。

建物は、古くなれば古くなるほど経年劣化が生じてきます。築30年以上の建物では、壁が微妙にずれてきたり、床の下に入っている鉄骨のゆがみから、床に凹凸やクラックが発生します。使用中の物件では、工期が限られていて、躯体にまで手をまわすことができないのが現状です。このような状況での躯体修正に多くの予算と時間をかけるのはあまり賢くありません。現場の状況、下地の状況を考慮して、施工する材料を選ぶことをお勧めします。

人間の体に置き換えて考えてください。

年を重ねるにつれて。若い時の体型を維持するのは難しいものです。元の体型に戻すためには、TVのダイエット番組のように決断や時間、そしてお金が必要になってきます。現実は若いころのような、体にフィットして、体のラインを強調するような服は着れなくなります。そして、体型をごまかす服を選ぶようになるのです。工事も同じで、床材やクロスも見た目で選ぶのではなく、下地が出にくい模様の入っているものや、厚手のものの中から選ぶことをお勧めします。矯正下着やシークレットブーツがあるように、内装材も機能性に富んだものが開発されています。

お客様に似合わない服を、売りたいがために「似合ってますよ」ということの方が問題です。